【2024年】控除や税制優遇をフル活用!可能なものから始めておきたい所得税・住民税の税金対策4選

今回は所得税・住民税対策として挙げられる大きな4つの対策をご紹介します。
- 『ふるさと納税』の活用する
- 『生命保険料控除』の利用する
- 『iDeCo(企業拠出型年金)』や『積立NISA』による積立投資
- 『不動産積立』を活用する
目次
1, 今や国民の37%以上が利用している⁉『ふるさと納税』とは?
ふるさと納税とは…
生まれら故郷や応援したい自治体に寄付ができる制度です。手続きをすると、寄付額に応じた返礼品を受け取れるだけでなく、寄付金の内2,000円を超える部分については所得税の還付や住民税の控除を受けることができます。
ふるさと納税の寄付によって選べる返礼品についても、食品から生活用品まで様々な種類があり、各自治体の地域性を生かした特産品などもありますので、応援したい地域への寄付をしつつ、自身の好きな返礼品を控除によってお得に手に入れることができるというのがメリットです。

控除額の上限は、給与や家族構成によって異なるため、「ふるさと納税の控除額シミュレーション」などで自身の控除額をあらかじめ確認しておきましょう。下記から『さとふるチョイス』サイトでの控除額シミュレーションが可能です。
2, 生命保険の加入が税金対策になる⁉『生命保険料控除』とは?
生命保険料控除とは…
複数ある所得控除のうちの1つです。自身が契約し払い込んだ生命保険料に応じて、一定の金額が契約者(保険料負担者)の年間の所得から差し引かれる制度のことで、税率を掛ける前の自身の所得合計額が低くなることにより所得税、住民税の負担が軽減されます。
制度改正の年を境に、生命保険控除の適応が【新制度・旧制度】に分かれており控除の限度額等も異なります。
- ~2011年(平成23年)12月31日に契約した保険
→ "旧制度" が適応される生命保険 - 2012年(平成24年)1月1日~に契約した保険
→ ”新制度” が適応される生命保険
新制度の生命保険料控除の対象となるものは下記一覧の通りです。
これらの年間保険料負担額を年末調整で申告することで控除適応となり、後ほどその減税額分が還付されます。
保険料控除の対象となる保険 | 保障内容 | 具体的な保険商品(例) |
一般生命保険料控除 | 死亡もしくは生存に起因して、保険料などが支払われる保険商品 | 終身保険/定期保険/学資保険/収入保障保険など |
介護医療保険料控除 | 疾病や身体などの障害により、給付が支払われる保険商品 | 医療保険/介護保険/がん保険/就業不能保険など |
個人年金保険料控除 | 「個人年金保険料税制適格特約」が付加されている個人年金保険 | 個人年金保険など |
生命保険料控除の具体的な減税額…
それぞれの保険料で年間の控除最高額を超えた場合は、下記が実際の減税額になります。



全ての生命保険料を合わせた控除最大額が120,000円となっており、実際の控除減税額は最大でも所得税が12,000円、住民税が8,400円となります
自身の所得やお住まいの地域によって減税・還付金額は変わることや、上記のように控除額の上限がありますので、利用する際は覚えておきましょう。
また、せっかくの控除を無駄にしないよう、正確な保険支払額を確認し年末調整で必ず申告しましょう。
3, 個人型確定拠出年金『iDeCo』や『積立NISA』とは?2024年から新しくなった最新の『積立NISA』について再確認!
確定拠出年金とは?
確定拠出年金とは、企業または加入者が毎月一定の額の掛金を拠出し、一部税制の優遇を受けながら自身で資産運用を行うものです。支払った掛金が自身の口座に積立てられ、運用の中で得た給付金が将来的に自身に戻ってくるものであるため、運用の結果次第で将来受取れる年金の額は異なります。
確定拠出年金には、個人型確定拠出年金(iDeCo)と、企業型確定拠出年金(企業DC)の2種類があり、
iDeCo(イデコ)は個人が加入するのに対して、企業型は主に会社が退職金制度として導入しているものです。
確定拠出年金の【個人型・企業型】の違い…
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)…
国民年金保険料を納めている国民を対象とした私的年金制度で、個人の判断による加入や運用が求められますが、様々な税制優遇措置を受けながらの資金運用が可能です。 - 企業型確定拠出年金(企業DC)…
企業が掛金を拠出し、従業員が運用する仕組みの制度です。企業DCの場合、福利厚生の一環として確定拠出年金制度を導入している会社に入社しない限りは、加入の対象とはなりません。
個人型・企業型確定拠出年金(iDeCo・DC)で積み立てた掛金は、全額が所得控除の対象となり、「所得税」と「住民税」が軽減されます。自営業者は確定申告、会社員の場合は年末調整で対応できます。節税額は、年収や掛金に応じて変動しますが、積み立てる全期間に適用されますので、大きな節税メリットが見込めます。
今回は、個人の加入判断による個人型確定拠出年金(iDeCo)についてを取り上げていますので、下記ではiDeCoと積立NISAの違いをご紹介します。
iDeCoとNISAの違いとは?
iDeCo | 新しいNISA | |
目的 | 老後資金 | 住宅購入・教育資金・将来のための資金等 |
投資対象商品 | ・投資信託 ・定期預金 ・保険商品 | ・つみたて投資枠 長期積立分散投資に適した一定の投資信託(つみたてNISA対象商品と同様) ・成長投資枠 上場株式・投資信託等(除外条件あり) |
対象年齢 | 原則20歳~60歳までの国民年金加入者 | 18歳以上 |
運用(拠出)の上限額 | 年間144,000円~816,000円(職業や企業年金の有無による) | 1,800万円 |
手数料 | ・加入/移換時手数料…2,829円 ・国民年金基金連合会手数料…月105円(掛金納付月に限る) ・運営管理機関の手数料…金融機関による ・還付手数料…還付を受ける都度1,048円 | 口座管理の手数料… 0円 (売買の手数料がかかる場合あり) |
引き出し可能な時期 | 原則60歳以降(拠出開始から10年以上経過後に受け取り可) | いつでも可能 |
税制での優遇内容 | ・掛け金の全額所得控除 ・受取時、公的年金等が控除または退職所得控除の対象に ・運用益が非課税 | 運用益が非課税 |
どちらも運用によって得た利益が非課税になるという特徴があり、自身の資産運用を行う上ではうまく活用していきたいものです。
二つを比較すると、iDeCoの方がより税制面での優遇が多いことも特徴ですが、原則60歳まで引き出すことができない点から自営業の方で公的年金の給付が少ない方などが”老後資金”を目的として制度を利用する場合は、特に有効であると考えてよいでしょう。ただし、急に資金が必要になった場合に引き出すことなどができないため、自身の資産に見合った額の運用を検討しましょう。
NISAについては、一般的に国民年金・厚生年金また企業年金などに加入している会社員や公務員など、老後資金が比較的充実している方で、資産運用を始めたい場合に試みるのがよいでしょう。こちらも、いつでも引き出しが可能とはいえ、長期的な運用がマイナスを避ける大きなポイントとなるため、長期的な運用を見込んだ上で、自身の資産に見合った額の運用を始めましょう。
2024年からの最新の積立NISAとは?何が変わった?

2024年からのNISAでは、主に年間の投資可能枠や非課税対象の期間、投資可能期間について、より大きな額を無期限で運用することが可能に改正されました。詳しい改正内容については下記の記事で紹介しておりますのでこちらをチェックしてみてください。
4, 不動産で節税できる?疑問も多い『不動産積立』とは?
不動産を活用して課税所得を引き下げることができる
不動産を活用して税金を下げる仕組みとして、利用される制度が所得税法69条の「損益通算」と所得税法49条「滅価償却」です。
確定拠出年金の【個人型・企業型】の違い…
- 「損益通算」…
不動産や山林から生じた損益をサラリーマンの給与収入と合算し、課税所得を引き下げることが可能となります。 - 「滅価償却」…
購入時にまとめて支払った購入費用額を、翌年以降の経費として分けて計上していくことが可能となる制度です。そのため、不動産を購入してから耐用年数が経過するまでの間の、所得を少なく申告することができ、所得税と住民税に関して長年にわたって軽減することができます。
「損益通算」の具体的な仕組み

滅価償却では、上記のようにもし不動産運用によって赤字が生じた場合、給与所得をはじめ、その他収入から損失分を差し引いた金額をもとに所得税額や住民税額が算出されます。
つまり、減価償却費という経費の計上はできますが実際にお金は出ていかない経費を使うことで一度会計上の赤字を作り、その赤字を給与所得にぶつけて所得を圧縮(損益通算)させることで不動産による減税が可能となります。
注意点としては、節税額は年収によって異なることや、不動産所得の金額は毎年一定ではないということです。
減税だけにとらわれず、自身のキャッシュフローを十分に考えた上、一番のリスクである空室を避けるための物件選びを行う必要があります。
まとめ
今回は下記の四つの住民税・所得税対策の方法をご紹介しました。
『ふるさと納税』・『生命保険料控除』・『iDeCo(企業拠出型年金)や積立NISA』・『不動産積立』
皆さんはすでに実践されていますでしょうか。
税金対策はもちろんこれらだけに限りませんが、将来年金だけを頼りに暮らすことを検討するにはあまりに現実的ではない状況にあります。それは以前の記事「【年金の現実】60歳~90歳の平均受給金額はいくら?県別・年齢別一覧まとめと高齢者の50人に1人が生活保護を受けている実態」でも紹介しましたが、各々に具体的な将来対策を考える必要があることを認識しておきましょう。